『旅ぐるま放浪記』2015年3月後編

川の向こうは和歌山県!そんな県境にあります熊野市紀和町。温泉有り!美味い丼有り!鉱石有り!と、とにかく見所満載の紀和町へ、鉱山見学も兼ねて色々観光してみようじゃないか~!の旅♪後編です~。

001トップ画



熊野市紀和町。
ここには、かつて「紀州鉱山」と呼ばれる鉱山群がありました。
奈良時代から金、銀、銅が豊富に採掘され、奈良県の大仏建立時にも、この地からも多くの銅が献上。日本の重要鉱山として産業を支えて来た所です。
ですが、海外の鉱山採掘に比べコストが掛る為、昭和53年に閉鎖。
かつては3つの映画館、ダンスホール、13校もの学校、そして海まで伸びたロープウェーがあったというくらい活気があり、人々が溢れた町は、徐々に衰退。人口も減少し、2005年11月には、熊野市と合併。
現在の「熊野市紀和町」が誕生しました。
南牟婁郡御浜町から、「風伝おろし」で有名な風伝峠を越えれば、そこはもう熊野市紀和町。
奈良県、和歌山県、三重県が入り混じった“三県境”もあり、とにかく、歴史深く、観光名所も豊富な町・紀和町へ、紀州鉱山探索も兼ねて、キャンピングカー出動です!

紀和町の鉄板とも言える観光地と言えば、こちらでしょう。
「丸山千枚田」
棚田百選にも選ばれた、丸山地区にある「千枚田」。


002千枚田


いつから開墾され始めたのかは不明ですが、1601年には2400枚もの田があったという記録が残されています。
紀和町の代表的な観光地として、知らない方はおそらく居ないのではないかと思いますが、かつては、過疎化や高齢化による耕作放棄などで、平成初期には田の数が激減。
それでも、大切な文化遺産を失ってはならないと、地元住民が中心となり、千枚田の復元&保全活動を開始。
その甲斐あって、現在は1340枚という日本最大規模の棚田となりました。


003大石


そんな千枚田の中央辺りには、大きな巨石が一つ、まるで何かを見守っているかのように鎮座しています。
磐座信仰の名残なのでしょうか。
そんな巨石を囲むかのように、棚田が広がっています。
そんな美しい千枚田の風景を後世に残していく為に、平成6年、熊野市は“千枚田条例”を制定。
また、年間3万円で田のオーナーを集い、棚田の保護・管理・発展に取り組んでいます。(*毎年2月から募集開始~4/1まで)
オーナーになると、7月に行われる伝統行事“虫送り”など、様々な農業体験に参加可能。温泉施設の入浴料割引や、新米&地域の特産物がプレゼントされるのだとか。
興味ある方は是非どうぞ~。
紀和町が誇る美しい自然遺産に、是非、触れてみて下さい。


熊野市紀和町丸山地区

「丸山千枚田」
熊野市紀和町丸山地区
*千枚田内に駐車場・WC完備。
*千枚田内を走る道路は狭いので、走行の際は十分ご注意下さい。

基本情報はこちら丸山千枚田保存会



「赤木城址」
丸山千枚田から、車で10分くらいの場所にあるのがこちら。


004赤木城址


築城の名手として謳われた、かの有名な藤堂高虎が1589年に築いたといわれる「赤木城」址です。
現在、建物は残っておらず、石垣のみ。
平成4年から13年掛け、現在のような姿に整備されました。
山中にひっそりと佇むその石造物の美しさは、兵庫県にある“天空の城”竹田城のようだと話題になり、今、熊野市の密かな(?)観光スポットとなっております。
城内には、沢山の桜の樹が植えられており、春になると、無機質な石垣の間に咲き誇るピンクの花々がとても美しいのだとか。
山と田畑と空と石垣と・・・それだけしか無い場所ですが、それだけでも十分だと思わせるような、そんなのどかな、美しい場所です。


熊野市紀和町赤木

「赤木城址」
熊野市紀和町赤木
*WC有

「入鹿温泉 瀞流荘」
赤木城址から県道を下り、国道311号線へ。
そこから北山川沿いに走ると「入鹿温泉 瀞流荘」があります。


005瀞流荘


トロッコ列車の発着駅・瀞流荘駅がある「入鹿温泉」。
そこにあるホテル「瀞流荘」には、地元の特産物を色々取り扱う売店や、北山川を一望出来るレストランも完備されており、宿泊客でなくても、のんびりと館内で過ごす事が出来ます。
ちなみに、レストランでは「熊野丼フェア・スタンプラリー」にも参加されている丼・熊野鶏を使った焼き鶏丼(980円)が頂けます。
熊野丼フェア・スタンプラリーに参加中の雑賀一家も、もちろん立ち寄って来ました♪


006食事


瀞流荘のFacebookでお勧めされていた唐揚げ定食(1180円)や、熊野だけにしかない珍しい柑橘“新姫”の絞り汁を掛けて頂く新姫(冷)ぶっかけうどん(750円)、熊野地鶏ラーメン(620円)を注文。
いやぁ・・・
どれを食べても、本当に美味しかったです!
レストランから見える北山川の眺望も素晴らしくて、より一層、美味しくお食事を頂く事が出来ました。
こんなホテルがあったなんて、三重県に住んで○十年以上・・・全然知りませんでした(汗)
こちらの瀞流荘は、宿泊はもちろん、日帰り入浴だけの利用も可能。
眺望最高の温泉は、湯質良し!景色良し!で、言う事無し!のホテルでした♪
せわしない俗世間を離れ、のんびりと綺麗な空気を吸いながら穏やかに時間を過ごすには、持ってこいの場所かもしれません。


熊野市紀和町小川口158

「入鹿温泉 瀞流荘」
熊野市紀和町小川口158
0597-97-1180
日帰り入浴 10時(木曜12時)~21時
喫茶コーナー(平日)8時~10時 11時~14時 17時~21時(ラストオーダー20時半)
      (土日祝日)8時~10時 11時~15時 17時~21時

「入鹿温泉 やすらぎの湯(瀞流荘内)」
10時~21時(木曜日12時~21時)
入浴料 大人620円  小人310円(3歳未満無料)
*毎月22日には「夫婦の日割引」有り。
*当日誕生日の方は無料で入浴出来ます。
*毎週水曜日はレディースデー。(←女性の方のみ入浴料300円)
*瀞流荘から、熊野古道通り峠、赤木城址、丸山千枚田行きの無料シャトルバス有り。(*詳細は直接、瀞流荘へお問い合わせ下さい)
*現在、休業中の湯ノ口温泉は3月26日、新しい建物になってオープン予定!

基本情報はこちら入鹿温泉ホテル瀞流荘



「入鹿温泉スタンド」
自宅でも温泉を楽しみたいという方の為に、何と、町の中に温泉スタンドが完備されています。


007スタンド


あまりに存在感が無く、思わず、通り過ぎてしまいそうになるかもしれませんが(汗)
さすが、温泉湧出量豊富な紀和町・・・格安で温泉が楽しめる、貴重なスポットではないでしょうか。
100リットル100円。
お金を入れて、ホースのコックを捻ればお湯が出て来るという、簡単なシステム。
出て来るお湯は、その場で足湯くらいは出来そうな適温です♪
ここへお越しになる際は、是非、ポリタンクをお忘れなく~!


熊野市紀和町板屋

「入鹿温泉スタンド」
熊野市紀和町板屋(*選鉱場前広場)
駐車場スペース有


そして、そんな温泉スタンドの背後に聳え立つ、コンクリートの柱達。
とても大きいので、国道311号線からでも、その姿を確認する事が出来ます。
それが、次なる紀和町お勧めスポットの一つ。

「鉱山選鉱場跡」


008選鉱場


ここは、かつて、この地で「紀州鉱山」が活発に稼働していた遥か昔・・・鉱山から運び出される黄銅鉱から銅精鉱等を抽出する場所でした。
年間3000トンという日本屈指の産出量の鉱山、そして、総面積2200坪、高さ75メートル、一日1000トンという東洋一の選鉱処理能力を誇っていた“選鉱場”。
現在、建物は撤去され、屋根を支えていた柱しか残っていませんが、当時、どれだけ大きな建物であったのか、窺い知る事が出来ます。
廃墟好きにはたまらない場所なのではないでしょうか(苦笑)
かつて、ここに鉱山があったという事実を確認出来る、数少ない遺跡です。


熊野市紀和町板屋

「鉱山選鉱場跡」
熊野市紀和町板屋(紀和町歯科診療所裏)
*選鉱場跡は立ち入り禁止区域となっておりますので、ご注意下さい。


次に向かったのは、選鉱場のすぐ近く。
採掘している鉱員さんの像が一際目立つ看板が立つ、こちらの建物。

「熊野市紀和鉱山資料館」
実は私、大の鉱石好き!!
そんな私に、実家の父が「紀和町に鉱石採集体験(道具も貸与)してくれる施設がある」という情報を寄せてくれたのが、この紀和町へ来る事になったきっかけでした。
ここに来たかったから、紀和町へやって来たと言っても過言ではないかもしれません(汗)


009鉱山資料館


紀和町にある紀州鉱山の歴史をマネキンなどを使い、超リアルに完全再現したのが、ここ、「熊野市紀和鉱山資料館」。
手で鉱石を採掘していた江戸時代から、機械が投入された近代の鉱山の様子まで、クオリティの高いジオラマで分かりやすく展示されています。
鉱山から発掘されるのは、もちろん、金銀銅だけではありません。
地下に眠る鉱石は「蛍石」や「方解石」「石英(水晶)」など、多種多様。
そして、そんな貴重な鉱石達を、希望すれば、自分達の手で探す事が出来ます!


010鉱石


“鉱石採取体験”
かつて、選鉱場で、銅ではないから・・・と捨てられた石達(ズリ)の中に、蛍石や方解石、石英などが含まれていて、それを探し出すというモノ。(←隧道の中へ入って石を掘ったりするような危険な作業では決してありませんので、ご安心下さい~!)
それに、熊野市教育員会の職員さん立ち会いの元ですので、小さなお子さんにも安心して楽しめるイベントです。
参加費無料♪道具も貸与。
運が良ければ、貴重な蛍石が発見出来るかもしれません。
自分の運を試す、良いチャンスですよ♪(←私は発見出来ませんでしたが・・・)


011ツアー


また、鉱山資料館を管理している熊野市教育委員会が主催する“鉱山跡めぐり”イベントが不定期で開催(←有料)されています。
雑賀一家も、そのイベントに紛れ込み、何と、普段では絶対に立ち入る事の出来ないエリアへ潜入に成功!
とにかく、貴重な紀州鉱山の遺跡を目の当たりにする事が出来る絶好のチャンスではないでしょうか?!
機会があれば、是非参加してみて下さい。
詳細は、鉱山資料館のHPへどうぞ~


012鉱山乃足湯


また、資料館の隣には足湯があります。
入鹿温泉から引かれた、100%源泉掛け流し。
手軽に温泉を楽しめるという事で、地元の方も頻繁に利用されるのだとか。
微かに硫黄の匂いを感じさせますが、湯ノ口温泉のお湯程ではなく、比較的、さらっとした透明度の高い泉質。
天候の変わりやすい、寒さ厳しい山間の町で、程良く体を温めてくれます。
鉱石探しで疲れた足を癒すには、丁度良い場所かもしれません。
スタンドで温泉を汲むのが大変・・・という方には、こちらをお勧めします♪


熊野市紀和町板屋110-1

「紀和町鉱山資料館」&「鉱山乃足湯」
熊野市紀和町板屋110-1
0597-97-1000
9時~17時
年末年始&月曜日休館(*月曜日祝日の場合、翌日が休館)
大人500円 小・中学生200円(*団体割引有)
*足湯は無料。
*足湯ですが、掃除等などで不定期にお休みが有りますのでご注意下さい。


「布引の滝」
熊野川の支流・楊枝川の枝谷・布引谷にある、落差53メートルの滑段爆です。


013布引の滝


日本の滝百選にも選ばれており、花崗岩の岩盤に、白い布を垂らしたかのような、音もなく飛沫も立てずに水が流れ落ちる様は、本当に優美です。
かつては、ここは修験道の行場だったとか。
そのせいか、本当に山深い・・・車が無ければおいそれとは近づけないような、豊かな木々が生い茂る鬱蒼とした森の中に、この滝はあります。
この美しい滝周辺一帯の森を保護する為、熊野市は、永久に樹林を伐採しない「熊野市きらずの森条例」を制定し、管理しています。
癒されたい方には、是非お勧めしたいスポットです。


熊野市紀和町大河内地区

「布引の滝」
熊野市紀和町大河内地区
*滝つぼ近くまで観に行く事が可能です。



大自然のパワーを満喫したら、次は“食べ物”でしょう!
という事で、紀和町内にある、数少ない飲食店へ。

「大和屋」
鉱山資料館から、そのまま311号線を西へ走ると、こちらのお店があります。


014大和屋


こちらで頂けるのは、「熊野地鶏のオム丼」(1000円)。
玉子とじではなく、今話題の熊野地鶏をふんだんに使用したオムレツが乗っかった、ちょっと洒落た丼です♪


015丼


あらかじめタレを絡ませたご飯の上に、熊野地鶏のオムライスが乗っているのですが、これがとにかく美味しいのです~!!
他のメニューと比べると、ちょっと割高ですが、食べる価値は十分有り!
どれだけでも食べられそうな、そんなお味でした~。
こちらのお店も、熊野丼フェア参加店。
それだけあって、付け合わせのお味噌汁にも抜かりなし!
美味!
何を食べても美味!
私としては、あんまり人には教えたくないなぁ~というくらい、とにかく美味しい、こちらのお店♪
孫市絶賛のカツ丼も、豚肉が厚くて柔らかくて、玉子とじの味も良くて、超お勧めです!
そんな味の良さを象徴すべく、お店のご主人がこれまたとっても良い方で、私達のキャンピングカーを見て、「キャンプするなら、その先にトイレのある場所があるよ。夏には紀和町の火祭りもあるよ」と、色々教えて下さいました♪
紀和町には、まだまだ見所があるようですね!
これはまた再訪確定です~(笑)
そして、食事が終わる頃になると、女将さんが「このミカン、良かったら食べてって~」と、テーブルの上に置かれていた蜜柑をサービスしてくれました。
何だか、田舎の実家に帰って来たような気持ち・・・
味もさる事ながら、居心地の良さ満点!!のお店でした。
ご馳走様でした~。


熊野市紀和町小川口84-12

「大和屋」
熊野市紀和町小川口84-12(北山川堤防沿い)
0597-97-0766
12時~20時(*電話でご確認の上、ご来店下さい)
水曜日定休

基本情報はこちら郷土料理の宿 大和屋


こうして、紀和町探索は終了しました~。
実家の母が骨折・入院という事態の為、駆け足での旅となってしまいましたが・・・(汗)
いかがでしたでしょうか?
全長330キロにも及ぶという採掘跡が、未だその山奥に残るという、何とも歴史深いミステリーチックな町・紀和町。
次回は是非、夏の火祭りの季節に訪れてみたいと思います~。
雑賀の旅は、まだまだ続きます!

※雑賀さんの旅はまだまだ続きますが、ゲンキ3ネットではひとまず連載終了となります。
ご愛読、ありがとうございました!